原状回復 負担割合計算 English

敷金精算書(退去費用の明細)の読み方

退去後に届く敷金精算書や原状回復費用の請求書は、項目と金額が並ぶだけで、なぜその金額になるのかが書かれていないこともあります。このページでは、ガイドラインの別表4(精算明細書の様式例)の項目に沿って、1行ずつ確かめる手順をまとめます。

敷金と精算のしくみ

敷金は、家賃の滞納や借主の不注意による損傷などの損害を担保するために預けるお金です。名目が保証金でも性質が同じなら敷金で、借主の債務がなければ全額が返還されます(Q6、ガイドライン p.39)。返還を請求できるのは、契約で別の時期を決めていなければ、部屋を明け渡した後です(Q9、ガイドライン p.41)。

貸主には敷金から差し引く原状回復費用について説明義務があり、借主は内訳の明細を請求して説明を求めることができます(Q17、ガイドライン p.45)。

精算明細書にあるべき項目

ガイドラインの別表4(ガイドライン p.28)は、精算明細書の様式例として、対象箇所ごとに次の欄を設けています。

手元の請求書に経過年数や負担割合の欄がなければ、その項目について経過年数を考えたかどうかを確認する手がかりになります。

1行ずつ確かめる5つのこと

  1. その損耗は借主の負担か。日焼け、家具の設置跡、画鋲の穴、電気ヤケなどの通常損耗は貸主の負担です(ガイドライン p.25)。通常損耗と借主負担の区分で照らし合わせます。
  2. 範囲(数量)は合っているか。クロスは㎡単位が望ましく、毀損箇所を含む一面分まで。畳は原則1枚単位、カーペット・クッションフロアは毀損が複数箇所なら居室全体、フローリングは原則㎡単位です(ガイドライン p.22~23)。色合わせのための部屋全体の張替えは借主の負担ではありません(ガイドライン p.15)。
  3. 経過年数を考えたか。クロス・クッションフロア・カーペットは6年、流し台は5年などの耐用年数で負担割合が下がります(ガイドライン p.22~24)。計算機で行ごとに確かめられます。
  4. 単価は説明を受けたか。費用は資材や施工方法で物件ごとに違いますが、高級品への交換などグレードアップの費用を負担する必要はないとされています(Q13、ガイドライン p.43)。
  5. 特約で決めた項目か。契約書の特約に書かれた項目は、特約の内容と有効性を確かめます(特約とクリーニング代)。

計算例: クロスの請求

参考資料の例です(参考資料 p.18)。8畳の部屋(天井13㎡、左右の壁各10㎡、窓側・扉側の壁計7㎡)、工事単価1,200円/㎡、新築から4年住んで退去。

同じ部屋でも「どの範囲が借主の負担か」で金額が2倍変わります。参考資料は、例の単価より実際の単価が高いからといって必ずしも不当な請求ではないこと、単価とは別に廃材処分費などの諸経費がかかる場合があることも書いています(参考資料 p.18)。

立会いでサインしてしまった場合

Q14は、損傷があることを確認しただけなら負担を了承したとは限らないとしています。特約がない場合、借主の故意・過失によらない損傷は、確認のサインをしていても負担する理由はなく、その旨を主張できるとされています(Q14、ガイドライン p.43~44)。

話し合いで解決しないとき

ガイドラインは、当事者の交渉で解決しない場合の手段として、簡易裁判所の少額訴訟手続、民事調停、国民生活センター・消費生活センターなどでの相談・あっせん、仲裁を挙げています(ガイドライン p.33~34)。手続の条件は変わることがあるため、利用する前に裁判所や相談窓口で最新の案内を確かめてください。

このページの出典

  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」平成23年8月、全文PDF mlit.go.jp/common/001016469.pdf(確認日 2026年10月31日)
  • 国土交通省住宅局「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に関する参考資料」令和5年3月 mlit.go.jp/…/001611293.pdf(確認日 2026年10月31日)
  • 国土交通省「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』について」ガイドラインの案内ページ(確認日 2026年10月31日)