原状回復 負担割合計算 English

原状回復の特約とクリーニング代

賃貸借契約には「退去時のクリーニング費用は借主負担」のような特約が付いていることがあります。特約があると、ガイドラインの一般的な考え方とは違う負担になることがあります。ただし、特約ならどんな内容でも有効というわけではありません。

特約は認められるが、要件がある

ガイドラインは、強行法規に反しない限り特約は契約自由の原則から認められ、一般的な原状回復義務を超える修繕を借主に負わせることも可能だとしています。一方で、通常損耗の修繕などを借主に負担させる特約は、次の要件を満たしていなければ効力を争われることに十分留意すべきだとしています(ガイドライン p.6~7)。

  1. 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
  2. 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
  3. 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

最高裁判例の考え方

ガイドラインが引用する最高裁判例は、通常損耗の補修費用は通常は賃料に含めて回収されているので、借主に通常損耗の原状回復義務を負わせるのは「予期しない特別の負担」を課すことになるとし、次のように述べています。

「少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗及び経年変化の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の通常損耗補修特約が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である」ガイドライン p.7

また、消費者契約法9条1項1号(平均的な損害の額を超える損害賠償額の予定)と10条(消費者の利益を一方的に害する条項)による無効の規定にも触れています(ガイドライン p.7)。

クリーニング特約

Q16(ガイドライン p.45)は、クリーニング特約の有効・無効は、①借主が負担する内容・範囲が示されているか、②通常損耗分も負担させる趣旨と範囲が明記または説明されているか、③費用として妥当か、などから判断されるとし、2つの裁判例を紹介しています。

特約がない場合、借主が通常の清掃をしていれば、専門業者による全体のハウスクリーニングは貸主の負担です(ガイドライン p.25)。

「原状回復して明け渡す」とだけ書いてある場合

Q5(ガイドライン p.39)は、契約書に「賃借人は原状回復をして明け渡しをしなければならない。」とあっても、内装をすべて新しくする費用を負担するわけではなく、通常の使用方法で使っていた状態で返せばよいのが一般的だとしています。汚損や損耗が経年変化や通常使用によるものだけであれば、特約が有効である場合を除き、借主がその費用を負担することにはならないとされています。

特約がある場合のこの計算機の使い方

これから契約する場合は、ガイドラインの別表3(ガイドライン p.25~27)のように、原状回復の条件と「例外としての特約」を契約書に添付して、契約前に双方で確認しておくことが勧められています(ガイドライン p.6)。

このページの出典

  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」平成23年8月、全文PDF mlit.go.jp/common/001016469.pdf(確認日 2026年10月31日)
  • 国土交通省住宅局「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に関する参考資料」令和5年3月 mlit.go.jp/…/001611293.pdf(確認日 2026年10月31日)
  • 国土交通省「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』について」ガイドラインの案内ページ(確認日 2026年10月31日)