原状回復 負担割合計算 English

クロス(壁紙)の原状回復と負担割合

退去費用の明細でいちばんよく見るのがクロス(壁紙)の張替えです。ガイドラインはクロスについて、耐用年数・負担の範囲・借主の負担になる汚れの例をそれぞれ示しています。

耐用年数は6年

「6 年で残存価値 1 円となるような直線(または曲線)を想定し、負担割合を算定する。」ガイドライン p.23

新品のクロスで入居した場合、借主の負担割合は1年で83.3%、3年で50%、6年で1円です(負担割合表)。入居時にクロスが新しくなかった場合は、その年数を足して数えます(参考資料 p.17)。

負担の範囲は「一面分」まで

「クロス張替えの場合、毀損箇所を含む一面分の張替費用を、毀損等を発生させた賃借人の負担とすることが妥当と考えられる」ガイドライン p.15

別表2も、負担単位は「㎡単位が望ましいが、賃借人が毀損させた箇所を含む一面分までは張替え費用を賃借人負担としてもやむをえないとする」としています(ガイドライン p.23)。部屋全体の色・模様を合わせる張替えは「グレードアップに相当する部分」を含むとされ、借主の負担ではありません(ガイドライン p.15、ガイドライン p.22)。

借主の負担になる汚れ・ならない汚れ

別表1の壁・天井(クロスなど)の例です(ガイドライン p.18~19)。

区分例
貸主の負担(通常の使用)テレビ・冷蔵庫の後ろの黒ずみ(電気ヤケ)、ポスターや絵画の跡、画鋲・ピンの穴(下地ボードの張替えが不要な程度)、借主所有のエアコン設置のビス穴、日照によるクロスの変色
手入れ次第で借主の負担使用後の手入れが悪くススや油が付いた台所の油汚れ、結露を放置して広がったカビ・シミ
借主の負担タバコ等のヤニ・臭い、重量物をかけるためのくぎ穴・ネジ穴(下地ボードの張替えが必要な程度)、天井に直接つけた照明器具の跡、落書き等の故意による毀損

計算例

条件借主負担の目安
新築から4年入居。2か所の破れで左右2面 20㎡ × 1,200円(参考資料 p.18)24,000円 × 33.3% = 8,000円
新築から4年入居。リビング30㎡のうち落書きのある2面 15㎡ × 1,200円(参考資料 p.23)18,000円 × 1/3 = 6,000円
入居時にクロスが3年経過、2年住んで退去。左右2面 20㎡ × 1,200円(このサイトの計算、方法は参考資料 p.17)24,000円 ×(1 − 60/72)= 4,000円

参考資料は、計算例の単価より実際の単価が高いからといって必ずしも不当な請求ではなく、廃材処分費などの諸経費がかかる場合もあるとしています(参考資料 p.18)。単価に疑問があれば、内訳の明細を求めることができます(ガイドライン p.45)。

タバコの場合は部屋全体

喫煙で居室全体のクロスが変色したり臭いが付いた場合だけ、居室全体の費用が借主負担の対象になります。この場合も経過年数は考えます。詳しくはタバコのヤニ・臭いと退去費用にまとめています。

よくある質問

クロスを一部傷つけたら、部屋全体の張替え代を払いますか?

ガイドラインのQ7は、㎡単位が望ましいとしつつ、毀損箇所を含む一面分の張替えまではやむを得ない場合があるとしています(p.40)。色や模様を合わせるための残りの面の張替えは借主の負担ではありません(p.15、p.22)。

6年以上住んだらクロスの負担は1円ですか?

計算上は1円です(p.22、p.23)。ただし、落書きなど故意の毀損を消す費用(工事費や人件費等)は、借主の負担となることがあるとされています(p.12)。

クロスの単価が高いのですが、払う必要がありますか?

Q13は、費用は資材や施工方法で物件ごとに異なるとしつつ、高級品のクロスなどグレードアップの費用を負担する必要はないとしています(p.43)。

このページの出典

  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」平成23年8月、全文PDF mlit.go.jp/common/001016469.pdf(確認日 2026年10月31日)
  • 国土交通省住宅局「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に関する参考資料」令和5年3月 mlit.go.jp/…/001611293.pdf(確認日 2026年10月31日)
  • 国土交通省「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』について」ガイドラインの案内ページ(確認日 2026年10月31日)

このページの条項とページ番号は、2026年11月1日にガイドライン全文PDFと参考資料PDFの原文で確認しました。ページ番号は冊子に印刷された番号です。